スコットランド旅行のベストシーズン

スコットランド旅行でいつ行くべきかを決めるとき、判断材料になるのは気温ではなく日照時間です。緯度が高いため、夏と冬で一日の長さが極端に変わります。6月の北部では夜11時近くまで明るく、12月には午後3時半には暗くなります。同じ場所を訪れても、季節によってまったく違う旅になります。

結論から言えば、初めての方には5月から6月上旬、そして9月がもっともおすすめです。日が長く、混雑は真夏ほどではなく、ハイランドを走り回るには十分な明るさがあります。以下、季節ごとの実情を詳しくご説明します。

春(3月〜5月)

もっとも過小評価されている季節です。気温は5〜13度ほどとまだ肌寒いものの、日は日ごとに長くなり、5月には夜9時過ぎまで明るくなります。

春の利点は明確です。観光客が少なく、宿泊費が手頃で、それでいて日照時間は十分。5月は統計的にスコットランドで最も降水量が少ない月のひとつでもあります。ハリエニシダの黄色い花が丘を覆い、島々では野生の花が咲きます。

注意点は、山間部の一部の道路や施設が4月頃まで冬季休業していること、そして高地には雪が残る場合があることです。訪問予定の施設は開館状況を事前に確認してください。

夏(6月〜8月)

もっとも人気があり、もっとも混雑する季節です。気温は15〜20度程度で、猛暑になることはまれです。

最大の魅力は日照時間です。6月下旬の夏至前後、北部ではほぼ一晩中うす明るい状態が続きます。シェトランドではこれを「シマー・ディム」と呼びます。一日にいくつもの場所を回れるため、行程を詰め込みたい方には向いています。

一方で、代償も大きい季節です。

  • 混雑と価格 — 宿泊費は年間で最も高く、人気の宿は数か月前に埋まります
  • 8月のエジンバラフェスティバル・フリンジにより街全体が別物になります。熱気を楽しみたい方には最高ですが、静かに観光したい方には最悪の時期です
  • ミッジ(ヌカカ) — 後述しますが、これは軽視できません

秋(9月〜11月)

9月は多くの旅行者にとって最良の月かもしれません。夏の混雑が引き、宿泊費は下がり、日照時間はまだ十分にあります。ミッジもほぼいなくなります。

10月に入ると景色が変わります。ハイランドの丘が茶色と金色に染まり、写真映えという点では一年で最も美しい時期です。ただし日は急速に短くなり、天候も荒れやすくなります。

11月は暗く雨がちで、観光には向きません。ただし宿泊費は安く、都市部で過ごすなら問題はありません。

冬(12月〜2月)

正直に申し上げると、初めてのスコットランド旅行に冬は向きません。日照は午前9時から午後3時半程度、多くの地方の施設が休業し、山道が閉鎖されることもあります。

それでも冬を選ぶ理由はあります。

  • ホグマニー — エジンバラの年越し祭は世界的に知られています
  • オーロラ — 条件が揃えば北部で見られることがあります。9月から3月の暗く晴れた夜が狙い目です
  • 雪のハイランド — 晴れた冬の日のグレンコーは息をのむ美しさです
  • 空いている — エジンバラ城を人混みなしで見られます

冬に訪れるなら、都市部を拠点にし、無理な移動計画は立てないことをおすすめします。

ミッジ対策は真剣に

日本の旅行情報ではあまり触れられませんが、これは知っておくべき重要な問題です

ミッジ(midge、ヌカカの一種)は体長1〜2ミリの吸血性の小虫で、6月下旬から9月上旬にかけて、主に西ハイランドと島嶼部に大量発生します。刺されると数日かゆみが続きます。

行動パターンには規則性があります。

  • 活発なのは早朝と夕方、特に日没前後
  • 風速が上がると飛べません — 風のある日や開けた場所は安全です
  • 湿気の多い曇天、水辺、樹林の陰を好みます
  • 直射日光の強い日中は比較的少なくなります

対策としては、現地で売られている虫除け(スモークタイプの防虫剤が定番です)を用意し、夕方の水辺での長時間の滞在を避けること。キャンプや長距離ハイキングを予定している場合は、防虫ネット付きの帽子が有効です。都市部ではほとんど問題になりません。

天候について現実的な話

スコットランドの天気は「一日のうちに四季がある」と表現されます。これは誇張ではありません。晴れた朝が昼には土砂降りになり、夕方にはまた晴れる、ということが日常的に起こります。

重要なのは、天気予報を見て予定を変えるのではなく、どんな天気でも成立する装備で出かけることです。具体的には次のとおりです。

  • 防水のジャケット — 折りたたみ傘は風で役に立ちません。フード付きの防水上着が必須です
  • 重ね着 — 一枚の厚手より、薄手を重ねる方が対応できます
  • 防水の靴 — 石畳も丘の道も濡れます
  • 夏でも長袖 — 8月でも朝晩は10度台前半まで下がります

「雨が降ったら中止」という考え方だと、旅程がほとんど成立しません。地元の人は雨の中でも普通に歩いています。

月別の早見表

  • 1月・2月 — 暗く寒い。都市部とオーロラ狙いなら
  • 3月 — 冬の終わり。日が伸び始める
  • 4月 — 春の始まり。まだ空いている
  • 5月おすすめ。雨が少なく、日が長く、空いている
  • 6月 — 日照が最長。中旬以降ミッジが出始める
  • 7月 — 暖かいが混雑。ミッジの最盛期
  • 8月 — エジンバラは祭り一色。宿代が高騰
  • 9月おすすめ。空き始め、ミッジも減り、紅葉が始まる
  • 10月 — 景色は最高。日は短くなる
  • 11月 — 暗く雨がち。観光には不向き
  • 12月 — クリスマスマーケットとホグマニー

目的別のおすすめ時期

  • ハイランドと島めぐり — 5月、または9月。道路事情と日照の両立
  • エジンバラ観光 — 8月以外ならいつでも。5月と9月が快適
  • ウイスキー蒸溜所 — 通年可能。冬でも多くが開いています。ウイスキーのご案内もご覧ください
  • 登山・長距離歩行 — 5月から9月。ただしミッジ対策を
  • オーロラ — 9月から3月の晴れた暗い夜
  • 予算を抑えたい — 11月から3月(クリスマス期を除く)

よくある質問

雨具はどの程度必要ですか。

防水のフード付きジャケットは季節を問わず必須です。傘は風が強いため、あまり役に立ちません。

夏でも寒いですか。

日本の夏とはまったく違います。7月・8月でも最高気温は20度前後、朝晩は10度台前半です。薄手のダウンやフリースがあると安心です。

冬に車で回れますか。

都市間の主要道路は通行できますが、ハイランドの峠道は雪や強風で閉鎖されることがあります。冬の運転に慣れていない場合、鉄道やバスの利用をおすすめします。詳しくはスコットランドの交通と移動手段をご覧ください。

8月を避けるべきですか。

エジンバラで静かに観光したいなら避けてください。逆にフェスティバルが目的なら、8月しかありません。ハイランドや他の地域は、8月でもエジンバラほどの混雑にはなりません。

何日くらい必要ですか。

エジンバラだけなら3日、ハイランドを含めるなら最低7日をおすすめします。移動に時間がかかるため、日数を欲張って詰め込むと移動だけで終わってしまいます。

予約はいつすべきですか。

6月から8月に訪れる場合、宿泊先は3〜6か月前の予約をおすすめします。特にホテルは、島嶼部や人気の観光地では早々に埋まります。

まとめ

迷ったら5月または9月を選んでください。日照、天候、混雑、価格のバランスが最も良い時期です。旅の計画についてはスコットランド旅行ガイドのトップページから各地の情報をご覧ください。お金の準備については通貨とお金のガイドが役立ちます。