スコットランドは地図で見るほど「小さな国」ではありません。面積は北海道よりやや小さい程度ですが、山と湖と入り江が入り組んでいるため、直線距離が短くても道のりは長くなります。エジンバラからスカイ島まで、地図上では300キロほどですが、実際の運転時間は6時間前後かかります。
このページでは、鉄道・バス・レンタカー・フェリーそれぞれの向き不向きと、旅程を立てるときに失敗しやすい点をまとめます。
結論:どの手段を選ぶべきか
- 都市だけを回る(エジンバラ、グラスゴー、スターリング、セント・アンドリュース)→ 鉄道で十分。車はむしろ邪魔になります
- ハイランドや島を回る → レンタカーが圧倒的に有利。公共交通でも行けますが、本数が少なく行程が縛られます
- 運転を避けたいがハイランドに行きたい → 拠点を決めて現地発の日帰りツアーを使うのが現実的です
鉄道
スコットランドの鉄道網は、中央地帯(エジンバラ〜グラスゴー間とその周辺)では非常に充実しています。エジンバラ〜グラスゴー間は約50分、15分間隔で運行しており、日本の都市間移動に近い感覚で使えます。
主な路線と所要時間の目安は次のとおりです。
- エジンバラ〜グラスゴー — 約50分
- エジンバラ〜スターリング — 約50分
- エジンバラ〜インヴァネス — 約3時間30分
- グラスゴー〜フォート・ウィリアム — 約3時間45分
- フォート・ウィリアム〜マレイグ — 約1時間25分
切符は早く買うほど安くなります。当日窓口で買う正規運賃と、数週間前に買う割引運賃では、倍以上の差が出ることも珍しくありません。乗る列車を指定する「アドバンス」券が最も安く、その分変更はできません。
景観路線としてはウェスト・ハイランド線(グラスゴー〜フォート・ウィリアム〜マレイグ)が世界的に有名で、グレンフィナン高架橋を通過します。夏季にはこの区間を蒸気機関車が走ります。
長距離バス
鉄道より安く、鉄道が通っていない場所にも行けます。スコットランド全土を結ぶ長距離バス網があり、エジンバラやグラスゴーのバスターミナルが起点になります。
特徴は次のとおりです。
- 運賃は鉄道の半額程度のことが多い
- 所要時間は鉄道より長い(エジンバラ〜インヴァネスで約4時間)
- ハイランドの小さな町へは、バスが唯一の公共交通という場所も多い
- 地方路線は一日数便のこともあり、日曜は運休する路線もあります
地方でバスを使う場合、帰りの便を先に確認してください。行きはあっても帰りが夕方までない、という状況が実際に起こります。
レンタカー
ハイランドや島を回るなら、車が最も自由です。ただしいくつか日本と大きく違う点があります。
運転は左側通行
日本と同じ左側通行なので、この点は日本の方には有利です。ただしロータリー(ラウンドアバウト)は日本ではあまり見かけません。時計回りに進み、右から来る車が優先です。
シングルトラック・ロード
ハイランドと島では、片側一車線しかない道が普通にあります。対向車が来たら、どちらかが「パッシング・プレイス」と書かれた待避所に入ってすれ違います。
作法があります。待避所が自分の左側にあれば入って待つ、右側にあれば待避所の手前で停まって対向車を通す。譲ってもらったら軽く手を上げて礼を示すのが習慣です。後ろに速い車がついたら、待避所で先に行かせてください。地元の人にとっては生活道路です。
その他の注意点
- 羊と鹿 — ハイランドでは羊や鹿が道路に出てきます。特に夕暮れ時は速度を落としてください
- ガソリンスタンドが少ない — 地方では次のスタンドまで50キロ以上ということがあります。半分を切ったら給油する習慣を
- マニュアル車が標準 — オートマ車は台数が少なく割高です。必要なら必ず事前予約を
- 国際運転免許証 — 日本の免許で運転する場合、国際運転免許証を出発前に取得してください
フェリー
島へ渡るにはフェリーを使います。西海岸の島々を結ぶ航路網があり、車ごと乗船できます。
重要な点が二つあります。
第一に、車を載せる場合は必ず予約してください。夏季の人気路線は数週間前に満席になります。徒歩乗船は当日でも乗れることが多いですが、車は別です。
第二に、天候による欠航があります。冬季や荒天時には運休となり、島に足止めされることがあります。島から帰る日に飛行機を予約している場合は、余裕を持った日程にしてください。
なおスカイ島へは橋が架かっているため、フェリーなしで行けます。
都市内の移動
エジンバラとグラスゴーの中心部は徒歩で十分回れます。エジンバラの旧市街と新市街は隣接しており、主要な見どころはロイヤルマイル周辺に集中しています。
市内バスとトラムはタッチ決済に対応しており、現金は不要です。空港からの移動についてはエジンバラ空港から市内中心部への行き方をご覧ください。
都市部でのレンタカーはおすすめしません。駐車場が高額で、一方通行が複雑、旧市街には歩行者専用区間もあります。ハイランドに向かう日に借りて、戻ったら返すのが効率的です。
旅程を立てるときの注意
もっとも多い失敗は、移動時間の見積もりが甘いことです。
- ハイランドの道は曲がりくねっており、平均速度は日本の一般道より遅いと考えてください
- 「地図で近い」は当てになりません。湖や入り江を大きく迂回する道が多くあります
- 景色の良い道では必ず停まりたくなります。その時間も見込んでください
- 冬季は日照が短く、暗くなってからの山道の運転は避けたいところです
目安として、一日の運転は3〜4時間までに抑え、拠点を決めて周辺を回る組み立てにすると、余裕のある旅になります。訪問時期の選び方についてはベストシーズンのご案内をご覧ください。
よくある質問
車がないとハイランドは無理ですか。
無理ではありません。インヴァネスやフォート・ウィリアムを拠点にすれば、鉄道とバス、現地発ツアーで主要な見どころを回れます。ただし自由度は下がり、行程は交通機関の時刻に縛られます。
国際運転免許証は必要ですか。
日本の免許証で運転する場合、国際運転免許証を日本国内で事前に取得してください。現地では取得できません。
鉄道パスは元が取れますか。
移動が多い旅程なら有利ですが、拠点滞在型なら個別に早割券を買う方が安くなることが多いです。行程を決めてから比較してください。
島に行くのにフェリーの予約は必要ですか。
車を載せるなら必須です。徒歩なら当日でも乗れることが多いですが、夏季の人気路線は事前予約が安心です。
運転が不安ですが大丈夫でしょうか。
日本と同じ左側通行なので、多くの日本人旅行者にとっては想像より容易です。不安な場合はオートマ車を予約し、初日は高速道路中心の区間から慣らすとよいでしょう。

